人々について

水をめぐった、
人のおはなし。

「大事にすれば、大事にされる。お水も人も、同じです」

#04

中村美紀 笑顔コーディネーター

水をめぐった、人のおはなし。#04 中村美紀 笑顔コーディネーター

人間のからだの約60%を占める、水──。

どんな人の生活にも欠かせないものであり、水を飲まずして生きられる人はひとりもいません。私たちは、生活の至るところで水と関わり合って生きています。

足柄聖河と同じ水源の地域で暮らす人たちの、「水をめぐる話」を伺うこのインタビュー。水との関わりから、その人の生き方や考え方の片鱗を探ります。

今回お話を伺ったのは、足柄上郡・大井町で暮らす中村美紀さん。平日は会社勤めをしながら、アンガーマネジメントの講師やハーバリウムのワークショップ活動をされるなど、その活動は多岐に渡ります。

はたして中村さんには、どのような水との物語があるのでしょうか?

自然のすばらしさに気づいた、2度目の足柄生活

「もともと私は足柄出身なんです。22歳までこの土地に住んでいたのですが、結婚を機に離れ、夫の転勤に合わせて日本各地を転々として、13年ほど前に、両親の介護のために戻ってきました」

取材が始まるやいなや、屈託のない笑顔と柔らかな話し方で、現場をパッと明るい雰囲気にしてくださる中村さん。大人になってから足柄の土地に戻ってきて、その自然のすばらしさをあらためて気づいたのだと言います。

「やっぱり富士山の美しさは格別ですね。地元に戻ってきてからは、富士山を見るのが毎日の楽しみ。あとは、お世辞ではなくお水が本当においしくって。いろんな場所に住んだことがあるからわかるのですが、蛇口から出るお水は段違いです」

足柄は、箱根連山から富士山が望め、空は広く、近くに大きな川も流れる自然豊かな場所です。その豊かな恵みを、生活の至るところで感じるようになったのだそう。

すべては、「笑顔」を増やすために。

中村さんは、平日は運送会社で事務のお仕事をしながら、大学で笑顔とコミュニケーション、アンガーマネジメントの講師をしたり、自宅でハーバリウムのワークショップを開催したりと、大忙しの日々を送っています。

会社以外のお仕事に共通しているテーマは、「笑顔」。8年ほど前に、先輩に「あなたの笑顔は人を救う」と言われたことをきっかけに、それを仕事にしてみたいと思ったのだとか。

心の問題を抱える人が多い現代社会。実際に中村さんのご友人にもそのような問題で苦しむ方がいて、決して他人事ではありませんでした。アンガーマネジメントは直接的なアプローチですが、ハーバリウムのワークショップは、その過程を通して心を癒し表情筋を柔らかくする、間接的なアプローチなのだと言います。

「心が美しい、平和な世の中をみんなで作れたらいいなと思っています。そのためには、「愛」と「笑顔」と「感謝」が必要。笑顔が増えると平和じゃないですか? でも、新型コロナウイルスが流行してからは、今ここにある目の前の小さな幸せに気づくことが難しくなっているように思っていて。だから、まずは私が実践して、それを広げたいですね」

世の中の笑顔の総量を増やす。そのために自分ができることをする。その思いが、中村さんの活力の源です。

大事にすると、大事にされる。生活や水への向き合い方

「目の前の幸せに気づき、大切にする」という姿勢は、中村さんの生活の細部にまで浸透しています。

あまりに日常に馴染んでいるので、毎日どれだけの量の水を飲んでいるかまでは把握していないそうですが、お水を飲めること、使えることを当たり前とは思わないように、いつも「ありがたいな」としみじみ思い続けているのだそうです。

「大事にすると結果的に大事にされるということを、これまでの人生でたくさん学んだので、どんなものに対しても感謝は絶対に忘れません。逆も然りで、与えられたものに気づかず放漫になってしまうと、それも自分に返ってきますから。人もお水も同じです」

すべてはつながっていて、いずれは自分に還ってくる。だからこそ、水も大切にするし、電気などのエネルギーも無駄には使わない。買い物も、手間暇がかけられて人の手で丁寧に作られたものを選ぶ──。

中村さんの柔らかな笑顔は、生活のささやかな瞬間でも忘れない、深い愛と感謝に支えられているのだと感じました。

娘の結婚式で行った「水合わせの儀」

「お水」に対して常日頃から意識されている中村さんの、その姿勢が伝わるエピソードがあります。

それは、今年3月に行われた娘の優香さんの結婚式で、「水合わせの儀」を執り行ったこと。水合わせの儀とは、結婚式において、両家の地元のお水をひとつの盃に注ぎ合わせる儀式のことです。

​​異なる水──つまり違う環境で育ったふたりが、それぞれの違いを乗り越え、新しいひとつの家族として幸せに暮らしていけるようにという意味が込められているこの儀式。

中村さん断っての願いで水合わせの儀をしたいと申し出て、その儀式にふさわしい水を探していた時に出会ったのが、足柄聖河のお水だったと言います。

「足柄のお水が発売されたと聞いて、すぐに取り寄せました。すると、何度も繰り返し使えるリターナブルびんで環境にも優しく、故郷の自慢のお水を一番いい形でいろんな方に味わってもらうにはぴったりだと思って。味も甘くてまろやかでおいしいし、水合わせの儀式に使うお水は、迷わずに足柄聖河にしました」

娘の優香さんも、足柄聖河のおいしさには太鼓判を押します。最初は結婚式で水合わせの儀をやるつもりはなかったのだそうですが、お母さんである中村さんの話を聞き、儀式の意味を感じられたのだそう。

「世の中が変わるのは、一人ひとりの積み重ねじゃないですか。その“ひとり”が増えないと変わっていかない。だから私が発信して、子どもたちが気づいて……。そうやって、少しずつ意識する方が増えてくれればうれしいです」

最後にそう言った中村さんの目には、身の回りから少しずつでも、人生をかけて世の中をよくしていこうという優しく強い決意が感じられました。

水をはじめとする、暮らしの中にある「当たり前」なものとの向き合い方。一人ひとりのちょっとしたその意識の変化が、世の中の大きな流れを生み出すに違いありません。

文・あかしゆか 写真・藤原慶

水をめぐった、他のおはなし

  • 小田眞一 大井町町長

    「安心して“いってらっしゃい”と言うために、責任を持っておいしい水を守ります」

  • 井上寛 「井上酒造」代表取締役

    「水がないと日本酒は作れない。豊かな自然を守りたいと本気で思います」

  • 山本祥二 田んぼの中の食事処「山本屋」店主

    「おいしい水と料理とともに、人生を歩んできました」

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